円の値打ちには、2種類あります。まず、対内的価値。日本の国内で円を使うときの値打ちです。いわば、円の「内面」です。もうひとつは、対外的価値。海外で円を使うときの値打ちです。「外面」です。人間はとかく内面と外面が分裂しがちですが、円またしかり。今回の円高でも、高くなったのは外面だけで、内面はわずかとは言え物価が上っている分だけ安くなっている。言うなれば「外に強く内に弱い円」という性格が、秘められているのです。1万円で買えるモノの量が前より減ったとすれば、円の価値は減っていますね。だから円の対内的価値の尺度は物価だと言えます。対外的価値のほうは、ドルが物差しです。ドルが国際通貨なので、円の対外的価値はドルで表わされる。では、どうやって。「1円は何ドル」という交換比率(レート)によってです。大根の値打ちを表わすのに「1本が何円」と言うのと同様です。それが、逆立ちなしの表現のしかたです。
アメリカは世界最大の農産物生産国かつ輸出国の地位を保持してきたのですが、そのことが逆に裏目となっていることも見逃せません。そこで、農業大国の泣きどころとも言える補助金農政について述べましょう。結論から言いますと、アメリカの農業政策が双子の赤字のひとつである財政赤字の増大にも影響しているのです。アメリカの農業政策のひとつに、価格支持制度があります。これは二つのメカニズムから成り立っています。まず市場価格支持制度。これは、市場価格が最低支持価格(これを融資レートと言います)を下回れば、農家が自分の農産物を担保として、融資を受けることができる制度です。関係する農家は、市場価格が融資レートを上回ることになれば、農産物を市場で売却することができますし、また逆に市場価格が融資レートを下回ったままであれば、担保とした農産物を引き渡すことで元利の償還を免れることができます。もう一つは農家所得補償制度で、これは生産コストを基準として決めた目標価格よりも市場価格が下回った場合に、その差額を政府が農家に不足払いとして補助する制度です。ただし、この不足払いは、販売価格が先の融資レートを上回っている場合だけであり、市場価格が融資レートを下回っている時は、融資レートと目標価格の差額が支払われるだけです。
ある企業の開発、製造、営業、物流といったバリューチェーンを見たとき、製造というブロックの一部分について優位性があり、営業のブロックはたいした競争力がない場合、その企業は全体として競争力を持っているかというと、これからの時代は、どこかに特化した企業には勝てない。ほんとうに強い部分だけを活かしてバリュースライサーとしてキーコンポーネントを押さえるか、あるいはほかの企業の強みと強みをつなぎ合わせてバーチャルなバリューチェーンをつくったほうが、結果としては強い競争力を持つのである。こうして、従来型の企業は、部門のバリューごとの競争力を軸にして分解、再編され、より最適な相手と結びつく方向へと進んでいく。他の企業とのアライアンス(提携・協力関係)も業界を越えておこなわれるだろう。競争力の弱い部門はアウトソースの対象にされるかもしれない。あるいは、いままさに増えつつあるMBO(マネージメントバイアウト=経営者や事業部長による子会社や一事業部門の買収。子会社や事業部門の独立だが、リストラの一環としておこなわれるケースも多い)などによって、「外の世界」での競争にさらされるかもしれない。すでにこうした動きは急速に拡大しているが、いったい、組織の中で働くというのはどういうことになるのだろうか。以上のような流れは当然、成果主義の人事評価を前提とする。そうなると確実に言えるのは、個々の社員を評価するうえで、所属する会社の意味は非常に薄くなるということだ。